スマートフォンと個性

iOSホーム画面のカスタマイズ機能が向上するし、やっぱり色の調整機能が入ったので、やっぱそうだよな〜と思ったその旨書き記しておきます。

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スマートフォンが誰でも使うものになり、日常生活のあらゆる場面で登場するようになった現在、デバイス*1に愛着*2をどう持ってもらうか、が関心ごとになっていると思います。*3 筆者の理解では、この愛着を持つきっかけとして、端末のカスタマイズ機能が運用されています。個々人に合わせた端末に調整することで、プラットフォームが個性にマッチするように感じさせる、という見方です。

カスタマイズについて考えていくと、ディスプレイのウチとソトの2領域に気がつきます。

ソトのカスタマイズは、ユーザーにとってとっつきやすいものです。 スマートフォンではケースやシールの調整程度に落ち着いている様子がありますが、フィーチャーフォンを思い出すと、まだまだ余地があります。ぬいぐるみぶら下がってましたしね。

一方で、ウチはユーザーによるカスタマイズが難しい領域です。 というのも、ディスプレイの内側は「利用するアプリケーションそのもの」と「カスタマイズできるように作られたアプリケーション」でしか、カスタマイズできません。 一見簡単なようですが、その実、プラットフォーマーに許可された範疇でのカスタマイズです。ソトほど 自由自在 ではありません。

近年では、AndroidiOSもロック画面のカスタマイズ性に力を入れるようになりました。 「スマートフォンを持ち上げた時、最初に目に入る場所」であるために、ユーザーとユーザーの周囲の人の目に入ることを、強く意識しているのでしょう。 壁紙を変えたり、ホームウィジェットを並べたり。ディスプレイの中の調和をとりつつ、ユーザーの工夫が光る箇所です。

伝統的にAndroid*4強かった分野ですが、iOSもバージョンアップごとに機能を追加しています。


好みの色 を選ぶ機能は、すでにありふれた機能です。

Windowsであればタスクバーの色があります。XPでは青色と灰色ぐらいだったような気がしますが、試しに変えてみた人は多いのではないでしょうか。macOSには、アクセントカラーというFinderの色を変更する機能があります。 初期のiOSAndroidになかったので違和感があるかもしれませんが、一般的には、ごくごく受け入れられている機能だと筆者は思います。ある意味で、iOSAndroid新機能として喧伝されるからこそ、違和感が目立っているのかもしれません。VSCodeなどのエディタやターミナルはもちろん、最近ではChromeブラウザに搭載されるなど、より多くの場面で目にするようになっているはずです。

AndroidiOSにおいては、この 好みの色 を選ぶ機能は遅れて登場しました。 筆者の理解では、ダークモードの登場により、一気に 好みの色 のキャッチアップが進んでいます。*5

ダークモード対応をユーザーが望んでいるということは、ユーザーが「色をユーザーが選べるようにして欲しい」と求めていることを意味します。

ダークモードは、アプリケーションの を、端末の設定(=ユーザーの環境)に合わせて変更します。 つまりアプリケーションがどういった色で表示されるかを、ユーザーが決定します。これは、従来の『開発者がすべての色を決定する』環境から、大きく外れたことを意味します。

ダークモードにおいて重要なことは、ダークモードが"見やすい"か"疲れにくい"かではありません。 ユーザーが「こっちの方が便利そうだ」や「こっちの方が好みだ」と思った時に、色の変更を試すようになった、その選択肢が 当たり前になった のが重要なイベントです。


ユーザーがアプリケーションの色を変えることに慣れてきたら、次に来るのは"好みの色"に変えられる機能です。

ただ、"好みの色"を明確に言語化でき、色調の中から選択できる人は限られます。 そこまでの労力をかけるのであれば、プリセットの色を利用するでしょう。色の組み合わせによっては、アプリケーションの利用そのものが妨げられます。*6

逆に、労力をかけずに"好ましい色"に変えられる仕組みがあれば、なんとなく良いものとして受け入れられるのではないでしょうか。 この機能は、Material DesignにおいてはMaterial Youと名付けられて、リリースされています。

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なおMaterial Youの世界にユーザーが浸るためには、Android OSや1st Partyが提供するアプリケーションだけではなく、すべてのアプリケーションによる協調が必要です。 このため、Material Youと同時に、3rd Party製のアプリケーションが ユーザーが選択したMaterial You を利用できるAPIが整っています。


「ユーザーごとの設定をAIがアシストする」こと、そして「ユーザーが行動を重ねることで、そのアシストの精度が高まる」こと。 これらはAIの活用事例として、多くの場面で喧伝されていたものです。

スマートフォンにおいて、AIを活用していく』事例として、 好みの色 をサポートする機能は、AIがスマートフォンに統合される事例の中でも宣伝されやすいものです。 どちらかというと開発者ではなく投資家の方を向いている気もしますが、しかし「これからAIを活用していくぞ」というシーンにおいては、重要なポイントです。

現時点では、Appleは色の選択にAIを使っていないようです。 AndroidがThmed Iconsをベータ版のまま進めている中、Appleの方が先にリリースするのも面白いなと。 この違いがどこから出るのか、各社のインタビューなどから伺えると嬉しいですね。


どこまでAppleGoogleと同じ地点を見ているかは分かりませんが、引き続き、注視していきたいと思います。

*1:厳密にはOSでありプラットフォーム

*2:たぶんロイヤリティ

*3:陣営というよりも陣営を運営する人たち、かもしれませんが。

*4:おそらくiPhoneとの差異を目指して

*5:筆者の理解では、ライト/ダークの選択肢が2つであっても、それは 好み による色選択です。

*6:エディターのテーマを調整して、使いにくくなったことがある人は多いはずです